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チームビルディング 第3回

2019年04月01日


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先月は、チームビルディングの手法としての「対話(ダイアローグ)」についてお伝えしました。
チームビルディングに“おわり”はなく、現在進行形で成長・変化し続けられる組織である為に「対話」は不可欠であると同時に、無二の行為なのです。
そしてこのおわりの対話をし続けられるチームこそ、ピーター・センゲの言う「学習する組織」でもあります。
最終回となる今回は、対話とその先にある学習の質を高める「内省」についてお伝えします。

ビジネスにおける「内省」の捉え方

熊平 美香(2008)『チーム・ダーウィン』英知出版 では、チームの成長にはチーム学習が欠かせないとし、“チーム学習のプロセス”として、以下を挙げています。

  • 失敗から学ぶ
  • 行動と結果を内省し、仮説を立てる
  • 仮説を次の行動に反映させる

概ね、皆さんの経験則に照らしても納得感のある内容だとは思いますが、二項目にある「内省」という言葉は、(前回のコラムの中でもさらりと使っていますが)ビジネスの現場ではまだあまり馴染みがないかもしれません。
似た言葉に「反省」がありますが、これは何か「上手く行かなかったこと」とその理由を挙げていく辛く痛みを伴う行為でもあり、近い響きを持つ「内省」にも同様なイメージを持った方も多いのではないでしょうか。

「内省」は英語では(self-)reflectionですが、refrectとは、「反射」という意味です。
つまり、結果の良し悪しに関わらず、その行為や考えに至った理由を自らに問うたりもしくは自分が「アタリマエ」だと思っている考えや、価値観を「なぜそう思うのか?」と問い直すまさに、自分の心に「問い」という光をあて、跳ね返ってくる考えや感情、想いに目を凝らすと言えばよいでしょうか。

しかし、この「内省」を一人で行うのは限界があります。
「内省」には上に書いたように「問い」が必要ですが、自分自身が立てる「問い」は、やはり自分の思考や価値観の枠に留まってしまいます。
「対話」では、チームのメンバーから様々な「問い」が投げかけられます。
皆さんも、同僚や先輩、上司の方に「思いもよらない問い」を投げかけられ、ハッとしたり、まさに目から鱗が落ちるような経験をしたことがあるのではないでしょうか。

深い「内省」が『学習する組織』の本質である

「対話」とは、良質な問いに出会う機会でもあり、そしてそこから生まれる深い「内省」のトリガーにもなりうるのです。
“ダイアログでは、人は自分自身の思考の観察者になる”これもピーター・センゲの言葉です。
内省が深く、本質的であればあるほど、上に挙げた“チーム学習のプロセス”において、“仮説を立てる”際の、仮説の精度が高まるのです。
これが『学習する組織』に起きていることの本質であり、レゴ(R)シリアスプレイ(R)は、まさにこの“思考の観察者としての在る(be)”為の装置として、ブロックによる作品と、参加したメンバーからの「問い」が発動する仕掛けが埋め込まれているのです。

おわりに。
『企業生命力』の著者アリー・デ・グースはチームとは“行動するのに互いを必要とする人たち”と言っています。
メンバーが皆さんのチームに欠かせないのと同様、皆さん自身がチームにとって欠かせない関係となれる、そんなチームを育てていってほしいと思います。

次回(最終回)のコラムでは「学習する組織」についてお伝えする予定です。

<参考文献>
学習する組織 ピーター・M・センゲ
ダイアローグ 対話する組織 中原 淳+長岡 健
チーム・ダーウィン 熊平 美香
チーム・ビルディング 堀 公俊 加藤 彰 加留部貴行 他


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コラム執筆者

鈴木 篤司
鈴木 篤司
特定非営利活動法人THOUSAND-PORT 代表理事
前職ソフトバンクテレコム株式会社にて、業務プロセスデザインや新会社設立等に携わる傍ら、社内研修講師としてネクストリーダー向けコーチング研修の講師として活躍。2010年より、NPO THOUSAND-PORTの代表理事として、企業向けの研修、青少年育成、キャリア教育支援事業の企画・運営を行う。共著書に「 わかる社会人基礎力 人生100年時代を生き抜く力」がある。

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