変化の激しい時代に求められるOODAループの考え方と活用の注意点
2020年05月27日
こんにちは、組織・人事コンサルタント トレーナビリティーの新井です。
皆さんは「OODA(ウーダ)ループ」という単語を耳にしたことはありますか?
これは簡単にいうと、ある状況下において目標を達成するために「観察(Observe)」「情勢への適応(Orient)」「意思決定(Decide)」「行動(Act)」というサイクルを回すということです。
日本では、目標達成のための考え方として「PDCAサイクル」という概念が有名ですよね。
しばしば、このOODAループとPDCAサイクルは「対立」として比較されますが、実は対立概念でもなんでもなく、使う場面が少し違うと考えるとスッキリします。
OODAループとPDCAサイクルとの違いは?
OODAループは、「観察」から始まり、その状況下で都度考えて、最適な行動をとりましょう、というものです。
一方でPDCAサイクルとは、「Plan(計画)」から始まり、その計画に則って行動し、何か不具合や間違い、想定外があったら修正しよう、というものです。
こうして比べてみると、確かに「計画してスタートする」のか「計画せずにスタートする」のか、という対立に感じてしまうかもしれませんが、そうではありません。
そもそも、何かを計画する時には、「どんな計画が適切か」を考える必要があります。その要素は、ビジネスで言えば市場の状況や、顧客の動向、トレンド、自社のリソースなどを踏まえて考えられます。
その計画決定の際にも当然ですが「観察」「適応」「意思決定」がされているわけです。つまり、OODAループが「基本的な思考プロセス」であり、PDCAサイクルは、それを受けての「改善の考え方」ということもできます。
もちろん、計画している暇もない、あるいは計画のための情報がない、など臨機応変に対応することが求められる場面もあります。そうした場面では、通常はOODAループを活用していることになります。
OODAループの適した場面は?
OODAループとPDCAサイクルは、それぞれどのような場面で有効なのでしょうか?
経営学者である野中郁次郎氏は、『変化の穏やかな市場にはPDCAサイクル、変化の激しい市場にはOODAループが適する』と提言されています。
ここ数年は、日本も世界も「変化の激しい時代、将来の予測がつかない時代」に突入したと言われています。だからこそ、OODAループが求められる場面が増えているのでしょう。
活用の注意点
OODAループは、単なる「臨機応変な対応」ではありません。
実は、活用が難しいのは、その活用のために「パラダイム」というものを常に明確、かつ有効なものにアップデートしておく必要があるからです。
「パラダイム」とは、考え方のパターンのことです。
例えば、財布をなくしてしまったとします。この時、人によって「すぐにクレジットカード会社に連絡しなきゃ!」となる人もいれば、「まずは警察にいかなきゃ!」となる人もいます。「そのうち見つかるだろう」とのんびり探す人もいるでしょう。
これは、どの行動も、その人なりの臨機応変な対応ですよね。つまり、臨機応変な対応という言葉で片付けてしまうと、結局個人主義に陥ってしまい、経営管理やビジネスの向上にはならないのです。
また、OODAループが適した状況、PDCAサイクルの適した状況がそれぞれあるように、会社組織も、どのような組織だとOODAループが生きやすいのか、そうでないのかが変わります。
今回の研修では、OODAループの詳細な解説に加え、自社がそれを活用するために、どんな組織を作り、どんなパラダイムを身に着けるべきか、PDCAサイクルと具体的にどのように使い分ければよいのか、などをご紹介します。
将来はマネージャー、管理職として活躍したい、或いは、すでにそうした立場で組織を率いている、という方は、この機会にぜひご受講ください。
コラムの内容を学べる公開研修情報
- 『管理職のための目標達成マネジメント研修② 応用編 ~OODAループの活用』