KPIの運用によくある失敗から導く! 管理職に求められる正しい目標設定・管理とは?
2020年08月19日
こんにちは、組織・人事コンサルタント トレーナビリティーの新井です。
管理職には様々な仕事が求められますが、その中で最も重要なことは「目標達成」です。これ以上に重要なことはない、と言ってもいいでしょう。
多くの会社では、目標達成に向けた取り組みとして、個人評価と連動したMBOの実施と、業績管理としてKPIを用いた管理の実施を行っています。
しかし、私が見る限り、目標の設定やKPIの運用が適切にできている会社はほとんどありません。今回は、そうしたよくある失敗を見てみたいと思います。
目標は降りてくるもの?
よくある目標設定が、会社・経営から「目標が降りてきた」というものです。もちろん、部署の目標は会社の目標と連動していますから、上層部によって目指す場所が決められることは普通です。
ここでダメなことは、「降りてきた」目標を、受け身で受け止めていることです。誰でもそうですが、目標は自分で「やりたい」と思って決める方が真剣に取り組めます。ですから、「降りてきた」目標を、何を目指すのか、どんな状態になれば理想なのか、と定義をし直すことが重要なのです。
KPI=数値管理?
多くの会社では、仕事を分解し、「KPI」として管理しています。しかし、実際に私がお手伝いしている会社の多くが、KPIを「数値管理」として使っており、適切な効果が得られていません。
KPIとはKey Performance Indicator の略で、「組織の目標達成のカギとなる重要な指標」という意味合いです。
達成のためのカギとなる重要な指標ですから、たくさんあってはいけません。どこにフォーカスするかを明確にするためにも、業務の中で「これが最重要のもの」を見つける必要があります。
つまり、「最重要のもの」が分からず、なんでもかんでも「KPI」としていては、意味がなくなってしまうのです。最重要なことが分かるから、そこに集中して取り組める、集中して取り組むから重要なノウハウが貯まるのです。
間違ったKPIの設定例
ある会社での研修中のやり取りです。営業マネージャー15人に向けて研修をしていました。
私が、「御社は、何をKPIにしているのですか?」と聞いたところ、マネージャーからは「テレアポ数、訪問数、飛び込み数、案件数、紹介人数、成約数です」という答えが返ってきました。
「ところで、KPIって何の略で、どういう意味かご存知ですか?」と聞くと、誰からも回答が返ってきません。営業上管理できる数字は全てKPI、という感覚なのです。
これが、典型的な間違ったKPIの使い方です。
そもそも「成約数」という結果をKPIに含めているのもおかしな話です。テレアポから成約に至るまでのプロセスで、何が最重要なのかが見えていません。
数値を管理することは重要ですが、KPIが増えれば増えるほど、組織の達成のためにキーとなる業務が分からなくなりますので、適切に設定をしましょう。
どうすれば目標達成が当たり前になるのか?
では、どうすれば目標達成が当たり前の組織になっていくのでしょうか?
重要なポイントは、まずは「目標設定の基本原則」を理解し、適切な目標を立てることです。目標を「降りてきた」と受け身に捉えるのではなく、自組織で適切に定義をし直すことを含めて、適切に目標を決めることをしましょう。
その上で、KPI、KSFをというものを設定し、日々の業務で、重要な数値をチェックしつつ業務の改善を進めていきます。単純にすべてを数値管理するのではなく、重要な指標、意味のある指標に絞って管理することでノウハウが貯まります。
組織の目標設定研修では、こうした目標設定の基本原則、KGI、KPI、KSFという単語の違いをしっかりと理解し、ワークを通じて具体的な達成への道のりや障害となるものを導き出すことを行っていきます。
そもそも「成約数」という結果をKPIに含めているのもおかしな話です。テレアポから成約に至るまでのプロセスで、何が最重要なのかが見えていません。
マネージャー、管理職として組織を率いる必要のある方は、ぜひご受講ください。
コラムの内容を学べる公開研修情報
- 『管理職のための組織の目標設定研修(半日)』
- 日程:2020年9月25日(金)
14:00~18:00 - 2020年10月9日(金)
15:00~19:00