これからの新卒採用計画立案のあり方とは?
2021年06月01日
新卒採用計画とは、新卒採用において、採用予定人数の決定、予算や選考の流れ、採用基準の策定など、採用活動の指針も含めて計画立案することを指します。採用活動は、応募者が存在しないと面接できませんし、面接できなければ内定も出せず、人材確保もできません。これが採用活動の難しさです。応募者(求職者)の就職観の変化や社会経済環境の影響も加味して、過去の成功にすがらずに、常に時代や社会情勢をキャッチアップしていく必要があるのです。ここでは、これからの時代で検討していかなければならない3つの要素をご紹介いたします。
新卒採用計画で検討する要素 その1
初任給は最終学歴によって異なるものの、基本は横一線スタートでしたが…
中途採用は、入社に至るまでのキャリアなどによって、入社時の賃金を決定していく手間がかかりますが、新卒はその手間がないとおっしゃるケースも多かったように思います。しかし、これは既に過去の遺物だと考えた方が無難です。
大企業は2020年4月、中小企業が2021年4月から同一労働同一賃金が義務化されています。
これまで新卒採用においては「新人の給与」は平等という原則が主流でしたが、今では配属後の担当業務のレベルによる給与水準を新卒に提示するトレンドが強くなっています。
新卒採用計画で検討する要素 その2
成人年齢の18歳への引き下げによる影響も…
成人年齢が、2022年4月から18歳に引き下げられます。このタイミングで高校新卒の募集方法が大きく変化しそうです。
高校新卒の就職活動は、学校推薦による応募が大半で、生徒自身が応募行動そのものを自由に展開しにくいことなど、憲法で保障されている「職業選択の自由」との関連がこれまでも問題提起されてきています。
この現行ルールの背景にあるのが「未成年の社会人デビューという大きな人生の節目を、大人が一定の距離感でサポートする」という考えなのです。
しかし成人年齢の引き下げが適用されると、高卒での就職活動は成人が行うものになります。そのため、学校が介在する色が薄まる方向に変化していくことが予想されます。
応募者集めのために高校の就職担当の先生方との関係構築に注力されている企業も多いのですが、その実効性が今後高まっていくことはありません。大卒のような自由応募に変化することを考えると、高校生からも選ばれる会社にならないといけない時代になるわけです。
新卒採用計画で検討する要素 その3
パワハラ防止法との関連で、面接が果たすべき機能にも変化が…
改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)が2019年に成立しました。大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から施行されます。
もともと、厚生労働省からは、パワハラに当たる言動の代表的な類型として、以下の6種類が挙げられています。
① 精神的な攻撃
② 身体的な攻撃
③ 過大な要求
④ 過小な要求
⑤ 人間関係からの切り離し
⑥ 個の侵害
採用場面に大きく影響を与えているのが ③ 過大な要求 と ④ 過小な要求 になります。本人が持っている意欲や能力と比して簡単すぎる業務、難しすぎる業務をアサインすることがパワハラに該当するのです。
これまで行っていた、素直さのような「人柄採用」では、意欲も能力も把握できないので、採用後にパワハラリスクを抱える選択にもなりえるのです。
採用活動におけるアンコンシャス・バイアスを払拭する機会を!
就職活動そのものを多くの大人が経験していますので、つい自分の過去の経験を活かしてしまうのです。しかし時代や背景が大きく異なるという前提なしに、実効性の高い採用活動計画立案はできません。
是非、自社のポジティブな将来を描くために採用をどう位置付けるのかを一度見直してみる前提でご参加いただけると幸いです。
コラムの内容を学べる公開研修情報
- 【セミナースタイル】【人事向け】 新卒採用計画策定 基礎講座
- 日程:2021年07月08日(木)
15:00~17:00
コラム執筆者
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