従業員エンゲージメントとは?6つの向上施策と成功事例
2023年06月14日
「従業員エンゲージメントの高い企業で働きたい」と希望する学生が増えています。給与の高さより働きやすさを重視する若者が増え、面接官自身がジェネレーションギャップを感じることもあるようです。
転職のときも従業員エンゲージメントは重要なポイントになります。ただ、はっきりした定義がないため、きちんと理解するのがむずかしく感じるかもしれません。
今回は従業員エンゲージメントについて最新情報をまとめました。
従業員エンゲージメントについて解説
従業員エンゲージメントの定義
従業員エンゲージメントは従業員と会社の結びつきを表現する言葉で、今注目のビジネス用語です。愛社精神や貢献度、信頼といったニュアンスでもよく使われます。
“貢献”が重要なポイント! “満足度”との違い
理解するキーポイントの1つになるのが、貢献度です。従業員エンゲージメントが高い組織では、従業員がやる気に溢れた状況で仕事に取り組んでいます。
会社に貢献したいという気持ちがつよいため、自発的に行動してくれるわけです。一方、従業員満足度は単純に職場の満足度を測る指標です。
満足度が高くても、貢献度が低いケースもあります。その場合、現状維持でOKと考え与えられた仕事をこなすだけの働き方になりがちです。
会社に愛着心を抱いて意欲的に働いてもらうためにも、従業員エンゲージメントを向上させた方が効果的な戦略になります。
必要な理由は?日本は世界最低レベルの132位
実は、日本の従業員エンゲージメントは世界ランキングでも最低レベルの132位という残念な結果でした。
有給休暇のとりにくさや転勤の多さも、順位を下げた原因かもしれません。いずれにしても働き方の改善は中小企業から大企業まで、早急に必要な課題になっています。
様々な調査によって、従業員エンゲージメントが低いと優秀な人材も他へ流れやすくなり、業績の低迷にもつながることが判明しました。
離職率の低下も見逃せない問題です。日本はとくに高齢化社会の加速によって、働き手が年々少なくなっています。
有能な人材が集まり、定着する会社づくりのためにも重要な人事戦略です。
従業員エンゲージメントを高めるメリット
仕事のモチベーションが上がる
従業員エンゲージメントが高くなると、社員1人1人が主体的に働くようになります。なんのために働いているのかわからない状況では、自分の仕事にプライドを持ち主体的な意欲を持ちにくいものです。
その点、会社の理念と自分の果たすべき役割を理解し貢献度の高い状態なら、熱心に仕事に取り組めます。
人材が成長し定着する
仕事に手応えを感じ、会社にもっと貢献したいという共通の思いがあると、職場の人間関係もよくなります。対人面でも快く働ける職場なら、離職率が跳ね上がることもありません。
余計な人間関係のいざこざが激減する分、コア業務に専念できる環境になります。たとえミスがあっても横と縦に信頼関係があれば、隠さずすぐに報告し合えるでしょう。
人材が定着する職場には、さらに能力のある人材も集まりやすくなります。その結果、より有益なスキルや情報を共有できるので会社全体の成長にもつながるはずです。
企業の業績アップに直結する
従業員が一丸となり意欲的に働くようになると、商品やサービスのクオリティも向上します。ある調査でも「顧客満足度10% 収益性と生産性20%以上 株価収益率は50%近く上昇」という結果が報告されました。
顧客満足度の上昇も、業績アップに直結します。しかも企業理念に沿う、正々堂々とした顧客獲得の方法を選択できるので、トラブルが勃発する確率も低くなりそうです。
いくら業績が上がっても乱暴なやり方なら、一時的な薄っぺらい成功に過ぎません。品質の欠陥や事故の多発も避けられません。品質問題の隠蔽体質が明るみになれば、企業の信用もガタ落ちです。
従業員エンゲージメントを向上させる6つの施策と成功事例
企業ビジョンをはっきりさせる
企業のビジョンが明らかではないと、従業員の間に浸透しません。何のために働くのか理解していなければ、働きがいも感じにくくなります。
組織と従業員のベクトルもずれやすくなり、採用の場面やクレームの対応など様々なところで不具合が生じるはずです。
従業員を尊重する
従業員を大切に考えない組織に対しては、貢献しようとは思いません。尊重する気持ちを暗黙の了解ではなく、可視化する施策が有効です。
人事評価を納得できるものにする
人事評価に納得できないと、従業員の不満炸裂のきっかけになりかねません。たとえば今までスタンダードだった年功序列の人事評価システムは、評価がしやすく組織の一体感が高まるメリットがありました。
ところが高齢社員の人件費がかさみ、現場の最前列で活躍する若手社員の取り分が少なくなるデメリットもあります。
能力のある人材が成果主義の会社に移ってしまうのも無理はありません。年齢や勤続年数とはまた別に、努力のプロセスや成果で評価する制度を導入する施策が効果的です。
職場環境を従業員に合わせる
転勤は日本独自の制度で、会社の突然の命令によって引き裂かれる家族も少なくありません。転勤族という言葉もあるぐらいです。
子育て中の家庭では、転校や受験の問題で苦渋の選択を迫られることになります。
パートナーもワンオペ育児を強いられ、負担が増すケースも。従業員のライフスタイルを考慮する対策も効果的です。
社内コミュニケーションの活性化をうながす
社員同士のつながりが密になることで、成功例やミスも報告しやすくなり隠蔽体質から脱却しやすくなります。
仕事を辞める理由ナンバー1は人間関係のため、対人環境が良くなれば離職率を低下させる効果も。
従業員の成長をサポートする
今は次々に新しい戦略やツールが登場する時代です。従業員が情報の遅れをとらないよう、成長をサポートする体制を整えるのも大事な施策になります。
学習の場は、社員の自発性に委ねるよりスムーズに学べるツールを用意した方が効果てきめんです。働きながら学べるオンライン研修の導入も人気があります。
コラム執筆者
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