難化する新卒採用に対して、内定者フォローはどう対応すべきか?
2024年08月29日
1.新卒採用の難易度急上昇、その要因とは?
▼落ちることはない、企業の採用ニーズ
25年卒においては内定出しの早期化に拍車がかかり、内定者フォロー期間が長期化しています。
「内定通知に至る前に選考辞退をされてしまう。」「内定承諾者が目標数値の半数しかいない。」「まさかと思っていた学生に内定辞退されてしまった。」
新卒採用の難易度上昇を裏付ける声を挙げれば、枚挙に遑がありません。このような傾向は26卒、それ以降も継続していくでしょう。2024年6月19日に株式会社学情によって実施された人事担当者向けの調査では、2026年卒採用における難易度について、「難しくなると思う」と回答した人事担当者の割合が58.9%と過半数を超えました。「難易度が下がることはこの先ないと思う。」「売り手市場の状況が続くと予想している。」「年々母集団の形成が難しくなっている。」「早期化の傾向は強まり、競合他社と学生の取り合いは激しくなると想定している。」などのフリーコメントも寄せられたとのことです。
実際に少子高齢化に伴う労働人口減少にとどまらず、働き方改革による一人当たりの総労働時間の減少、賃上げや最低時給引き上げに伴って扶養の範囲内で就業しようとするパート・アルバイトの方がシフトに入れる時間が限られ、その穴埋めを正社員が行なっている飲食・小売・サービス業の実態、コロナ禍で採用を控え、相当数の社員が離職した観光産業の採用ニーズ急回復など、社会背景を考えれば、採用ニーズに対する新卒市場における求職者のバランスが取れるわけもなく、売り手市場が継続することは火を見るより明らかです。
こうした現状から複数内定を保持する学生の割合も増え、有名企業や人気企業ですら採用数充足のため、夏から秋にかけての採用や追加募集を行っているのが現状です。
2.重要になる内定者フォロー
▼内定者フォローを怠ると命取りになる
売り手市場が加速すると、採用数の充足に企業は躍起になります。多少“盛った”話であっても、学生にとって魅力的な職場環境に映るように美辞麗句を並べ立てるものです。一方で、あまりにも認識していた内容と実際の職場環境が違えば、入社後にギャップを感じてしまいます。昨今の新入社員は見切りをつけるのも早い傾向にあり、内定者フォローのタイミングで少しでもギャップを埋めておかないと、せっかく入社しても早期離職につながります。
内定辞退のリスクも増大しています。とある学生が入社先を決めて就活を終えたあと、就活を継続している友人がいました。早期に内定を得ている学生がそういった友人に感化され、就活を再開した場合には当然内定を得られるでしょう。実際に内定者フォローを怠っており、大丈夫だと思っていた学生がいつの間にか就活を再開して追加募集を行っていた大手有名企業から内定を得て、内定式が近づいてきたタイミングで内定辞退を申し出られたケースもありました。
売り手市場となると、母集団形成や選考プロセスの改善に取り組む企業は多く存在します。しかし、内定者フォローはこれまで通り、前年踏襲となっている企業がまだまだ大多数です。売り手市場の加速、インターンシップでの接点を母集団形成に繋げることが一般的になっている昨今では、内定通知のタイミングも早まっています。つまり内定者フォロー期間が長くなり、そして秋以降も気が抜けない状況が継続するわけです。当然これまでのやり方ではなく、学生の心境変化をリアルタイムで把握し、ミスマッチやギャップを埋めるための情報提供を行い、双方向のコミュニケーションを絶させない仕掛けが必要となります。
3.内定者フォローのポイントとは?
▼時期ごとに目的を変えて対応すべき
内定者フォローの目的や対応は時期ごとに変えていくべきです。そして何より大切なのは人事担当者のマンパワーと内定者フォローの重要性に合わせて、DX化などを検討し、実効性のある施策を限られたマンパワーで行うことです。
まず、内定を通知してから承諾までの期間は、継続して自社の情報提供に注力すべきです。オンラインでの採用活動が一般的になった今、企業側も学生を深く理解できず、学生も企業を深く理解できぬまま、就業先企業を決めなければなりません。内定を出すまでの期間、すなわち採用活動中は社員と会わせたり、会社の説明をしたりしていても内定を出すと途端にそういった活動をやめてしまう企業もあります。ここは継続して情報を提供し、接点を多くすることが重要になってきます。
続いて内定承諾後のフォローですが、ここでは先輩社員や同期とのつながりを作ることが大切です。仮に就活を終えたと思っていても油断は大敵です。内定者の1年先輩の新入社員研修の様子を見せたり、早いうちに同期にどのような人がいるかを知っておいてもらうことで、入社後のイメージを持ってもらい、不安解消につなげます。
そして、内定式後は入社以降の教育に向けて徐々に「お客様扱い」をやめていくことも重要です。実際に入社を迎えたあとに社員に対して何の成果も求めない会社など存在しません。ただ、入社直前までお客様扱いされてしまうと、4月の入社以降、研修がはじまって急に厳しくなったことをギャップに感じ、それをネガティブに捉えてしまいます。内定式以降は入社後の教育も見据えて、会社として求めるものを提示したり、社会人になる上での厳しさも伝えていくべきです。そしてこのタイミングで行う内定者教育が新入社員育成とつながっていれば、入社後の教育にもスムーズに移行できます。
コラムの内容を学べる研修情報
セミナー詳細
セミナータイトル | タイパ重視のZ世代、内定者フォローはどう変えるべきか? 〜まさかの内定辞退を防ぎ、育成につなげるポイントとは〜 |
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時間 | 約40分 |
料金 | 無料 |
特別セミナー講師 | 佐原 資寛 氏 (EDGE株式会社 代表取締役 チーフエヴァンジェリスト) |
受講形式 | 2024年9月10日に開催したセミナーの内容を録画したオンデマンド配信です。 |
定員 | 1社5名まで |
\★お申込みはこちら★/
下記URLから必要事項をご入力の上、お申込みください。(法人企業1社5名まで)
https://krs.bz/rismon/m?f=4051
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コラム執筆者
EDGE株式会社 代表取締役 チーフエヴァンジェリスト
各業界のリーディングカンパニーをはじめ、採用や社員の定着など人事課題解決の支援実績は200社を超える。
自身が上場企業にて最年少部長(当時)となり、全員年上部下の環境でマネジメントに苦労した経験から、組織開発や評価制度、面談制度に創意工夫を凝らし、組織課題や人事課題解決に再現性のあるアプローチ手法を確立し顧客企業を支援。
2017年4月よりEDGE株式会社にて代表取締役を務める。人事や人財マネジメントに関する講演、取材実績多数。