パーパス経営とは?企業事例やメリットなどを詳しく解説
2023年06月15日
パーパス経営に取り組む先進企業のニュースを目にするようになりました。「次世代の経営モデル!」なんて特集もよく組まれています。
ところが定義がはっきりしていないため「正直なところ意味がよくわからない・・・」とモヤモヤしている方もいらっしゃるでしょう。
今回はパーパス経営の意味をわかりやすく解説します。企業事例やメリット、失敗しないコツなど最低限おさえておきたい内容をまとめました。
パーパス経営の意味をわかりやすく解説
パーパス経営とは?
パーパス経営とは、自社が定めた「パーパス=目的・志・社会的な存在意義」を軸にする経営のあり方です。
会社の存在意義をはっきりさせ、どのようにして社会に貢献するのかもしっかり定めます。その上で、利益の追求と並行して社会貢献も果たしていく経営方法です。
・“対社会”の視点がキーポイント
パーパス経営は経営理念とよく似ています。どちらも経営を実践するにあたり、創業者や経営者の想い、価値観や考え方を言葉で表現したものです。ただし、ちがうところが2点あります。
まずパーパス経営の特徴は“対社会”の視点でパーパスを考えることです。内容も社会とのつながりを強く意識したものになっています。また、一度策定したパーパスはずっと変わりません。
一方、経営理念は必ずしも“対社会”の視点が入っているとは限らない上、経営状況や時代の流れによって見直される可能性があります。
・ミッション・ビジョン・バリューとはちがうの?
パーパスと似ているのが、ミッション・ビジョン・バリューです。どの言葉も似てはいますが、指すものは異なります。
5W1Hで考えてみると、少しわかりやすくなるかもしれません。Who(だれが)が「会社」でWhenは「いつまでに」、そしてパーパスはWhyに該当します。「なんのために」社会に存在するのか、存在意義を表現する言葉がパーパスです。
- Why(なぜ)=パーパス「なんのために社会に存在するか(社会における存在意義)」
- Where(どこで・どこを)=ビジョン「どこをめざすべきか(理想とする未来像)」
- What(なにを)=ミッション「なにをおこなうべきか(日々果たすべき使命)」
- How(どのように)=バリュー「どのように実現・行動するか(価値観・行動指針・姿勢)」
パーパス経営に取り組む3社の企業事例
パーパス経営に切り替え、業績アップに成功した3社の事例を簡単にまとめました。
企業が注目する背景
ほんの少し前まで、社会貢献のために本腰を入れる企業は多くなかったものの、今は上場企業が率先してパーパス経営に切り替えています。理由の1つは、世界情勢です。
2015年に開催された国連サミットで、SDGs(持続可能な開発目標)が採択されました。どのテーマも社会的な課題とダイレクトに結びついているもので、国際的に関心が高いことが共通認識になりました。
働き手となる若い世代もパーパス経営には注目しています。有能な人材を惹きつける魅力要素になっていることはまちがいありません。
こういった背景が重なり合い、パーパス経営を推進する企業が増加しました。
パーパス経営のメリットを3つに要約
本来なら社会や環境へ貢献するための事業は、企業の利益には結びつきにくいものでした。
時代の流れが大きく変わった現在は、間接的、直接的な利益を生み出すメリットがあります。
メリットその1:従業員エンゲージメントの向上
従業員エンゲージメントは、従業員と会社の結びつきを示す指標です。パーパス経営によって企業と従業員が同じ“パーパス”を理解し、めざすことで一体感が生まれます。
従業員が一丸となって意欲的に働けば、業績が上がるのも当たり前です。なんのために働いているのか存在意義を認識することで、やりがいを感じ自分の仕事にプライドを持てます。
人材も定着し、離職率も低下させられます。
メリットその2:スピーディーな意思決定
パーパスをはっきりさせると、迷う場面が激減します。上司に相談しても相手によって方針がバラバラ・・・なんて混乱が生じる場面がなくなるので、時間とプロセスのロスがなくなります。
意思決定のスピードが加速し、スピーディーに業務を進められるでしょう。とくに日本は昔からスピード感を重視せず、時間をかけても全員の意見が一致することを重く捉える文化があります。
余計な確認プロセスをカットするだけでも、ライバル会社から一歩リードできそうです。
メリットその3:ステークホルダーからの支持率UP
ステークホルダーは社会情勢に敏感なので、社会貢献を掲げ時代にマッチする経営をすれば支持率も上がります。今の時代に経営で成功するには、ステークホルダーの評価も無視できません。
ステークホルダーとは従業員や株主、クライアントはもちろん、地域社会や行政機関など、自社の活動の影響が及ぶすべての相手が対象です。
かならずしも利害が一致するとは限りませんが、全方位に及ぶステークホルダーと良好な関係を構築することも重要な課題です。
パーパス経営に失敗しないコツ
失敗事例で1番おおいのは?
パーパス経営に切り替えてもすぐにうまくいくとは限りません。失敗事例に共通するのは従業員の認識不足です。
足並みがそろわない状態で走り出しても、転倒は避けられません。社内キャンペーンや研修は不可欠です。
パーパス経営に成功しているソニーも、最初の取り組みでは代表が率先して世界中の社員に呼びかけ意見を求めました。パーパスを浸透させるために、専門の事務局を立ち上げたのも効果的です。
ポスターの配布、レターの配信、ビデオの作成など、社内の従業員にパーパスを染み込ませるための具体策を繰り返しました。
オンライン研修で“パーパス・ウォッシュ”を回避
従業員がパーパスを真の意味で理解していないと、公言していたパーパスと行動が一致しないパーパス・ウォッシュに陥ってしまうおそれがあります。
たとえば水の節約をパーパスに掲げる企業の従業員が水道水を出しっぱなしにする動画をネットにアップしたら・・・ステークホルダーの信頼を失墜することになります。
パーパス・ウォッシュを避けるためにも、研修で徹底的に理解しなければなりません。研修はオンラインが便利です。
全従業員がスケジュールを合わせて一ヶ所に集まることなく、低予算でも受講しやすい魅力があります。研修の方法もトレンドを意識し、最新の方法を取り入れるのが成功の秘訣です。
コラム執筆者
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