【OJT研修】OJTとは?メリットや注意点、OJTで行うべき研修を解説
2021年11月15日
教育担当者が新入社員の隣に付き添って教育を施す「OJT」。
新入社員研修に取り入れられることも多く、教育の手法として広く普及しています。
しかし、いざOJTを実施するとなると、なにから取り組め良いのかわかりづらいものです。
自社の新入社員教育にOJTを導入しようと考えているものの、なかなか具体的な内容に落とし込めない……。そんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、OJTのメリットやデメリット、OJTを成功させるために押さえておくべきポイントをご紹介します。
OJTの概要とメリット・デメリット
「OJT」とは「On the Job Training」の略称であり、実際の業務を通して社員を教育する手法です。
上司や先輩が教育担当者となり、主に新入社員に対して、業務に必要な知識やスキルを教えます。OJTは教育担当者の負担が大きくなりがちな一方で、座学では得られないメリットが多くあるのが特徴です。
OJTのメリットとデメリットを、以下で確認していきましょう。
OJTの3つののメリット
・人間関係の構築がスムーズになる
OJTの代表的なメリットに、職場の人間関係を構築しやすくなることが挙げられます。
例えば新入社員にとっては、上司・先輩の人となりを知る機会が生まれ、会社にすぐなじめる点がメリットです。
また教育担当者も同様に、新入社員の性格や価値観を把握することで、新入社員との関係構築がしやすくなります。
・即戦力を育成できる
OJTの内容は実際の業務に基づいているため、OJTを終えた新入社員は即戦力としての活躍が期待できます。研修は受けたけれど業務の流れやノウハウがわからない……といった事態を防げるのは、新入社員研修でOJTを実施する大きなメリットだと言えるでしょう。
加えて、新入社員がわからないことをすぐに質問できるのもOJTの特徴です。日常の業務では「質問したいけど上司・先輩が忙しそう」と遠慮してしまう場面でも、OJT中であれば心理的な抵抗が少なくなります。
・教育担当者の成長にもつながる
教育担当者に上司・先輩でとしての自覚が芽生え、指導スキルを含めたスキルアップが期待できるのも、OJTのメリットです。
OJTの2つのデメリット
・新入社員が放置されてしまう可能性がある
OJTにおいて、教育担当者は、自身の業務と新入社員への教育を並行して行う必要があります。そのため、教育担当者の工数不足などが原因で、新入社員が放置されてしまう可能性も考えられるでしょう。
・教育の内容にばらつきが生まれる
OJTでの教育は、教育担当者の経験をベースにしたものになりがちです。そのため、教育担当者によって教育の内容にばらつきが生まれてしまいます。
OJTは実際の業務に沿った教育ができる一方で、その内容は教育担当者の主観にも左右される点を留意しておきましょう。
OJTに向いている研修
OJTのメリット・デメリットを踏まえたうえで、どのような研修がOJTに向いているのかをご紹介します。
それは、「PCDAサイクルを回せる業務」です。想定外の事態が発生しづらく、ルーティン化された作業を繰り返す業務は、OJTでの研修に適していると言えるでしょう。教育担当者と一緒に作業を繰り返しながら改善点や PCスキルやスケジュール管理など身に付けるべきスキルを洗い出すことで、効果的な研修ができるためです。
さらに、マニュアルが用意されている業務であれば、教育担当者による教育内容のばらつきも最低限に抑えることができます。
OJTを成功させるためのポイント
効果的なOJTを実施するためには、まず教育担当者の「教えるスキル」が重要です。
新入社員を教育するうえでは、業務の知識やノウハウはもちろん、ティーチングやコーチングといった「教える」スキルも必要不可欠になります。
新入社員の理解度・習熟度に応じて教育の内容を柔軟に変えたり、新入社員のモチベーションを上げる等のコミュニケーションスキルが重要です。
また、研修担当者に研修を任せきりにして新入社員が放置されていないか確認したりするなど、チーム全体でも十分なフォローができる体制も必要です。
OJTのデメリットで解説したとおり、OJT期間中は教育担当者への負担が大きくなりがちです。
そのため、OJTのスケジュールや内容は、教育担当者のスキルや工数も十分考慮したうえで、無理のないものにできると良いでしょう。
OJTを実施する際には、教育担当者への教育を含めた制度を設計する必要があります。
eラーニングなどを活用し、教育担当者自身が「教えるスキル」を習得する期間から教育プログラムを設計した上で、実際に新入社員の教育を行うといった手順で進めると良いでしょう。
さらに、チーム全体で業務を調整し、教育担当者への負荷を減らすサポートなどができると理想的です。
テレワーク下でOJTを行うときの注意点
新型コロナウイルスの感染拡大以降、テレワークが一般的なものになりました。
それにともない、オンラインでOJTを実施している企業も少なくないのではないでしょうか。
テレワーク下でOJTを行う際に注意したいのは、対面でのOJTと比較して、教育担当者と新入社員がコミュニケーションを取りづらい点です。
例えば、対面ではすぐに質問できる場面でも、オンラインでは相手が見えないことから「もしかしたら今忙しいのかも?」と質問を躊躇してしまう可能性があります。
また、チャット等の文字でやり取りする方法では意図がうまく伝わらず、コミュニケーションエラーが起きるケースも考えられるでしょう。
テレワーク下でOJTを行う場合には、進捗の確認にはビデオ通話を活用するなど、対面以上にコミュニケーション面でのフォローを欠かさないようにしたいところです。
「環境づくり」が効果的なOJT実施の鍵になる
効果的なOJTを実施するためには、教育担当者へのフォローを含めた総合的な環境づくりが必要です。
まずはOJTのメリット・デメリットを把握し、どの研修をOJTで行うか検討する。そして、教育担当者への教育を行い、教育担当者の工数を確保できるような環境を整備する。
その上で新入社員の教育を行うというように、人事が研修業務を兼任している場合は人事の教育担当者を含めた一連の計画や目的をしっかりと確認することが、OJTを成功させる鍵と言えるでしょう。
OJTは座学だけの研修では難しい部分もカバーできます。
また、テレワーク下で顔を合わせる機会も少ない昨今の働き方だと、新入社員が会社の先輩や同僚と雑談などでのコミュニケーションがうまく取れない状況に陥りがちです。
「業務を教える」という教育手法としてだけでなく、OJTによる先輩社員とのコミュニケーションを通じて会社への理解を深めるのにも効果的な教育手法です。
ぜひ今回ご紹介した内容を参考にして、新入社員の教育にOJT研修を導入してみてはいかがでしょうか。
コラム執筆者
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