メンタルヘルスケアにおける管理職の役割 ~部下からの相談への対応~
2022年02月18日
メンタルへルスケアの意義
心の病気を発症すると、大半の例で作業効率が低下します。長期にわたる休業が必要になることも少なくありません。
周囲の負担が増えたり、チーム全体の成果が落ちたりすることで、職場の雰囲気や活力にも影響します。メンタルヘルスは個々人の問題としてだけでなく、職場全体の問題としても考える必要があります。
また、最近では心の健康問題に関して、労災認定とする例が増加しており、リスクマネジメントの側面からも重要視されています。
管理職の役割
職場のメンタルヘルス対策において、管理職は非常に重要な役割を果たします。
部下の状況を日常的に把握しており、また個々の職場における具体的なストレス要因を把握し、その改善を図ることのできる立場にある管理職は、環境などの把握と改善、部下からの相談対応を行うことが必要です。
部下からの相談への対応
相談対応の基盤は、部下とのコミュニケーションです。
ストレスの内容は、人間関係の悩みが多く、大半はコミュニケーションのまずさから発生しているといえます。メッセージの送り手が送りたいメッセージを相手に発信できないとき、またメッセージの受け手が相手のメッセージを受信できないとき、そしてコミュニケーションの機会が得られないときに悩みは発生します。コミュニケーションが阻害されることで事態は改善に向かわず、より深刻化してくことになります。
上司からコミュニケーションを図っていくことで、部下の自己開示を引き出すことができたら、正確に部下が発信したいメッセージを把握することができるようになります。
必要なスキル
部下とコミュニケーションをする上で必要なスキルとして「話を聴くスキル」があります。
まず、コミュニケーションには「相手に何かしてほしい」という気持ちで行うコミュニケーションの他に、「話したい」、「やり取りしたい」という気持ちからくる「話すことで満足する」という側面があります。また、コミュニケーションを持つこと自体が関係の形成・維持・向上・緊張解消などの効果をもち、その関係構築の効果をもたらす面も部下の状況把握や相談対応では重要です。
話を聴くスキルとしては、相手の身になって真剣に傾聴し理解しようとする態度や姿勢が必要です。傾聴の姿勢で、相対して、視線を合わせ、相手が聞き取りやすいように自分の声のボリュームやトーン、ピッチに気を配らなければなりません。また、コミュニケーションの際、非言語コミュニケーションにも注意を払うことで、部下の安心感や親近感を得ることができます。
早期発見のポイント
人はストレスを受けると、身体面・行動面・心理面に様々なストレス反応を起こします。
この反応を早期に捉えることができたら部下のメンタルヘルス問題の早期発見につながります。ポイントは、部下のいつもと違う様子に気づくことです。いつもと違うという点を把握するには、日頃から一人ひとりの部下の特徴を知っておくことが必要となります。
管理職が話を聴く意義
相談の意義はメンタル不調の早期発見の他に、相談者の悩みやストレスの軽減解消という意義があります。
相談者が問題に直面した際にその解決策が見いだせない主な理由は、
①問題を正確に把握・整理できていない
②問題解決の手段や利用できる資源を知らない、あるいは気が付かない
③自らの気持ちの整理ができない
といったことが考えられます。人に相談するという事は、これらの原因を解消するのに有効な手段です。
管理職が部下から相談にのる上で重要なことは、
①相談内容を正確に把握することと
②問題解決のために利用可能な資源・人材を有効に活用することです。
管理職の方がラインケアに取り組む際の不安を、ぜひ管理職のための研修でで解消していただきたいと思っております。
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コラム執筆者
株式会社ガイアモーレ
研修講師
国家資格キャリアコンサルタント
メンタルヘルス・マネジメント検定試験Ⅱ種合格