改正派遣法施行が間近に迫る!! 4月1日までに労使協定を締結して乗り切ろう!
2020年02月19日

2020年はオリンピックもあり楽しみな一年がはじまりました。私はというと、先日のオリンピックチケットの二次抽選は外れてしまってがっかりしつつも、第三次抽選が春にあるのでは、という噂を聞いて期待にわくわくしています。しかし、その前にとても重要なことがあります。そうです、「改正派遣法の施行」です。とても複雑な作業で気持ちが落ち込みますが、2020年が始まりましたので気持ちを入れ替えて、しっかりと対応を検討してまいりましょう。
これから着手するという派遣会社は、今からやれることは1つ。労使協定を作成して適用すること。その中でも一番面倒である賃金テーブルの作成、この一点にこだわっていきましょう。それぞれの事業所独自の労使協定を作成しないと派遣先均等・均衡方式が強制的に適用されることなります。
とはいっても「何やればいいの?」という担当者の方もいらっしゃると思います。そこで今日は「4月1日までに労使協定を締結して乗り切ろう!」をテーマに簡潔に仕上げていきます!その前に少なくとも「平成30年労働者派遣法 改正の概要<同一労働同一賃金>」だけは読んでおきましょう。事前に読んでいないと言葉やその意味が理解できません。
資料はこちらhttps://www.mhlw.go.jp/content/000473039.pdf
ふたつの待遇決定方式の比較
まずはポイントとなる4月1日から適用される、「派遣先均等・均衡方式」「労使協定方式」の定義とメリット・デメリットを伝えておきます。
派遣先均等・均衡方式
派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇。
- メリット
派遣先の通常の労働者と均等均衡待遇にするので派遣元として賃金設計などの手間が少ない。 - デメリット
派遣先の通常の労働者がどのような労働者か、賃金や賞与等どのような待遇なのか等その労働者に係る情報を派遣先から入手する必要がある。つまり派遣先の手間がかかる。
労使協定方式
一定の要件を満たす労使協定による待遇。
- メリット
派遣元で賃金設計(賃金テーブルの作成等)を行うことにより、派遣先から情報を入手する手間が省ける。つまり、派遣先の手間が減る。 - デメリット
派遣労働者用の賃金テーブルが必要になり、その設計が面倒。また、ある一定の賃金水準も担保しなければならないため、今までより賃金が上がる可能性もある。
労使協定を採用するために必要なことは?!
さて、それでは労使協定方式を採用するためには、何をしなければならないかを記載します。全部で5点です。
- 1.一般的な業種別の賃金の確認
「職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額(時給換算) 別添2」(以下「別添2」と表記)で確認する。ここで、派遣会社で派遣している業種と業種ごとの賃金の確認を行う。(「平成30年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)」でも良いですが別添2の方が業種別が細かくなっているので使いやすいと思います。) - 2.派遣会社で派遣している業種別の賃金の確認
雇用する派遣社員の業種別賃金を確認する。特に一番低い賃金がいくらなのかは重要。 - 3.一般的な業種別の賃金と派遣会社の業種別の賃金の比較
1.と2.を比較して業種における賃金を比較して、高い方を当該派遣会社の最低の賃金として設定する。(ここで地域指数は考慮に入れておくこと。)
この段階で業種別賃金テーブルの最低基準(等級1)ができます。また、営業的には派遣料金の増額が概ねどの程度になるかもこの段階で検討できると思います。
【イメージ】
業種(別添2における業種) | 等級 | ||
---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | |
(0)※ | (1)※ | (2)※ | |
25 一般事務員 | 1,026円〜 | 1,190円〜 | 1,302円〜 |
26 会計事務員 | 1,131円〜 | 1,312円〜 | 1,435円〜 |
28 営業・販売関連事務員 | 1,135円〜 | 1,317円〜 | 1,440円〜 |
※基準値、基準値に能力・経験調整指数を乗じた値
- 4.賃金ランクの設定
上記の表のように、2等級、3等級等の賃金ランクを決定する。(何等級まで設定するかは、会社の実情に応じて決定します。) - 5.賃金ランクごとの業務内容と責任の程度を設定
業務内容と責任の程度を設定する。どんな業務を行うのか、部下がいるのか、数字的なノルマ等が課せられているのか等。これを設定することにより昇格の基準を明確にすることができる。
【イメージ】
業種(別添2における業種) | 等級 | |||
---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||
(0)※ | (1)※ | (2)※ | ||
25 一般事務員 | 1,026円〜 | 1,190円〜 | 1,302円〜 | |
業務内容 | ||||
責任 | ||||
26 会計事務員 | 1,131円〜 | 1,312円〜 | 1,435円〜 | |
業務内容 | ||||
責任 | ||||
28 営業・販売関連事務員 | 1,135円〜 | 1,317円〜 | 1,440円〜 | |
業務内容 | ||||
責任 |
ここまでできると概ね労使協定のコアなところが出来上がります。あとは、交通費を72円/時間で設定するのか実費とするのか、退職金を6%上乗せにするのか、退職金規程を作るのか、この2点も検討することとなります。
これから着手する派遣会社のみなさまは、まずは1.から5.までの対応からスタートしてくださいね。
