社会人基礎力とは? 3つの能力を鍛える研修方法について
2022年03月31日
「人生100年時代」とも言われている今、新入社員が今後、成長するための土台となる「社会人基礎力」の重要性が高まっています。
この記事では、社会人基礎力を構成する3つ能力と12の要素、その鍛え方について説明します。
社会人基礎力とは?
社会人基礎力とは、社会人として働く上で必要になる基礎的な能力のことです。2006年に経済産業省が提唱した言葉であり、その後、2018年に同省によって定義の見直しや改善が図られました。
社会人基礎力はもともと、企業と学生の間にあった「社会人として身につけておくべき能力」の認識の違いを埋めるために作られた定義です。
また、2018年に再定義されたことからもわかるように、「人生100年時代」と言われる近年では、社会で長く活躍するために必要な力として、
あらためて注目を集めています。
社会人基礎力を構成する3つの能力と12の要素
社会人基礎力は、3つの能力と、その能力を細分化した12の要素で構成
されています。下記でそれぞれの理由や内容を確認していきましょう。
・リーダーが能力を発揮しやすい環境を作れる
1つ目のメリットは、リーダーが今よりもリーダーシップを発揮しやすくなることです。
リーダーシップとフォロワーシップは、相互補完のような関係性です。
例えばリーダーがどれだけ明確なビジョンを示しても、フォロワーがそれに従う意思がなければ、組織として成果をあげることはできないでしょう。また、その逆も然りです。
裏を返せば、フォロワーが能動的・積極的にリーダーとの連携を試みることで、リーダーがよりリーダーシップを発揮しやすくなる効果も期待できます。
<能力>1.前に踏み出す力(アクション)
経済産業省の定義では、「一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力」と説明されています。自分から積極的に新しいことへ挑戦する向上心、またその過程で周りの人々を巻き込んでいくために必要な能力です。
前に踏み出す力の要素としては、次の3つが挙げられています。
要素1.主体性
物事に進んで取り組む力
要素2.働きかけ力
他人に働きかけ巻き込む力
要素3.実行力
目的を設定し、確実に行動する力
<能力>2.考え抜く力(シンキング)
「疑問を持ち、考え抜く力」として定義されている能力です。仕事における問題や課題を洗い出したり、それらを解決するための計画を立てたりするために必要とされています。現状に疑いの目を向け、今までにない新たな価値の創造へ取り組むのも、この能力の一環です。
考え抜く力の要素には、次の3つが挙げられています。
要素1.課題発見力
現状を分析し、目的や課題を明らかにする力
要素2.計画力
課題の解決に向けたプロセスを明らかにし、準備する力
要素3.創造力
新しい価値を生み出す力
<能力>3.チームで働く力(チームワーク)
言葉のとおり、「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力」と定義されています。いかなる仕事をする上でも、他者との協力は避けて通れません。そのために必要な能力は、すべてこちらの範疇に含まれます。こうした背景もあり、そのほかの2つの能力よりも多い6つの要素が挙げられています。
要素1.発信力
自分の意見をわかりやすく伝える力
要素2.傾聴力
相手の意見を丁寧に聴く力
要素3.柔軟性
意見の違いや立場の違いを理解する力
要素4.状況把握能力
自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
要素5.規律性
社会のルールや人との約束を守る力
要素6.ストレスコントロール力
ストレスの発生源に対応する力
2018年に追加された3つの視点
ここまで紹介してきた内容は、社会人基礎力が、はじめて提唱された2006年時点のものです。先ほど簡単に触れたように、その後2018年には、社会人基礎力に新たな「3つの視点」が加わっています。下記で詳細を確認していきましょう。
・何を学ぶか【学び】
キャリアの選択肢を増やすためには、新しいことを学び続けることはもちろん、「自分は、何を学べば成長できるのか」と考える視点も必要不可欠です。社会人として働く期間が伸びていくとされる背景にあわせて、「学び続けることを学ぶ」として、こちらの視点が加わりました。
・どのように学ぶか【統合】
自分のキャリアや経験を組み合わせることで新たな学びを得て、目的の実現へとつなげる視点です。また、多様な人々との協力によって、新たな価値を創造することも、こちらの視点に含まれています。
・どう活躍するか【目的】
自己実現や社会貢献といった目的に向けて、具体的な行動を取ることが重要とする視点です。自分への問いかけを通し、今後取るべき行動を洗い出すのも一環とされています。
(出展:経済産業省 社会人基礎力)
社会人基礎力を鍛える方法
社会人基礎力を鍛える上では、インプットとアウトプットの双方が重要になります。例として、「チームで働く力」のうち、「傾聴力」を身につけるケースを考えてみましょう。
まず傾聴力を身につけるためには、「傾聴力とは、どのような能力か」「どのようにすれば傾聴力を高められるのか」といった知識をインプットする必要があります。この過程を踏むことで、自分の目標や目標達成に必要なステップを明確にするイメージです。
もちろん、傾聴力に関する知識があることと、実際に傾聴力があることはイコールではありません。そこで、必要になるのがアウトプットです。
日々の業務における同僚や上司とのコミュニケーションを通して、インプットした知識を実践に移します。このように、インプットとアウトプットを繰り返すことで、効率的に社会人基礎力を、身につけることが可能になるのです。また身につけた能力は、社会人基礎力診断などで確認することが可能です。
新入社員研修を整備し、社会人基礎力を身につけやすい環境に
内定者や新入社員が社会人基礎力を身につける施策としては、社員研修サービス「サイバックスUniv.」の活用がおすすめです。サイバックスUniv.では、社会人基礎力に関連した新人研修などのコースを、数多く取り揃えています。会費内で無制限に受けられるオンライン研修(eラーニングとWebセミナー)を組み合わせることで、インプットとアウトプットの双方をカバーし、効率的に社会人基礎力を身につけることが可能です。
新入社員を自社の将来を担う人材へと育てたい、とお考えの担当者様は、ぜひこの機会に内定者・新入社員向けに『社会人基礎力』を身に着ける研修も取り入れてみてはいかがでしょうか。
コラム執筆者
「サイバックスUniv.」会費制サービスは、eラーニングと公開研修あわせて約4500コースが定額で受け放題となるサービスです。1998年4月より「企業の未来は人材が創る、伸びる人材が企業を創る」をコンセプトに、ITを取り入れた新しい教育スタイルを提供しております。幅広い研修ラインアップをご用意しており、業種や職種を問わず、現在3,000社以上のお客様にご利用いただいております。