プレゼンテーションの3つの要素
2023年11月17日
■優れたプレゼンテーション
プレゼンテーションが上手な人はうらやましいですね。そのような優れたプレゼンテーションは何がどのように違うでしょうか。
① 聴き手に合わせ、興味を持たせる(聴き手を知る)
② 話の展開がわかりやすい(論理的なストーリー)
③ はっきりとした口調で難しい表現がない(わかりやすい表現)
他にもいろいろあると思いますが、実はこの3点はプレゼンテーションの要素と言えるものなのです。この3点が十分に満たされると、聴き手はプレゼンターの意図したとおりに引き込まれ、プレゼンターはやったぁ!と心の中で叫ぶのです。
私はこれまで何百人ものプレゼンテーションを見てきましたが、その中で①~③にあたるものを紹介します。
① 聴き手に合わせたプレゼンテーション
私が開催していたアーキテクトを養成する研修にある講師を招きました。受講者にアーキテクチャについて話していただくよう依頼したのです。漠然としたテーマですが、補足としてあらかじめ受講者(ITエンジニア)の専門領域、人数などをお知らせしておきました。当日その講師はそのことを頭に入れた上で、こう切り出しました。
「今日は通信部門とソフトウェア部門のエンジニアがいらっしゃいますので、○○システムについてネットワークとソフトウェア構造の観点からご紹介します。」
そして両者の関係とそれがシステム全体にどういう効果をもたらしているかを説明してくださいました。
ITエンジニアである受講者に合わせた専門領域でのアーキテクチャの講義は、言うまでもなく受講者全員によくわかる内容でした。
もし聴き手(この場合は受講者)のことを知らなければ、プレゼンターは話したいことを(ひとりよがりで)話しているだけになってしまう可能性があります。このように、プレゼンターは聴き手の人数やどういう専門領域かなどをあらかじめ知った上でコンテンツを作ることが大切です。
② 話の展開がわかりやすいプレゼンテーション
素晴らしいプレゼンテーションの代表としてよく採り上げられるのが、スティーブ・ジョブズの新しいスマートフォン発表のプレゼンテーションです。
私も素晴らしいと思いますが、その最大の要因は、話の展開が論理的でとてもわかりやすい点にあります。従来の問題点を整理し、その解決策をわかりやすく説明しています。
彼の、聴衆に語りかける仕草やスライドのテクニックももちろん素晴らしいですが、話の展開がしっかりしていなければ、ここまで素晴らしいプレゼンテーションにはならなかったと思います。
たまに出くわすのが、言いたいことが詰め込まれ、展開がわからない息がつまるようなプレゼンテーションです。話の展開をうまく組み立てることは優れたプレゼンテーションの重要な要素です。
③ はっきりとした口調で難しい表現がないプレゼンテーション
プレゼンは話し方も大事ですが、それよりも意味の分かりやすさが重要です。
私はこれまで研修の中で多くの受講者のプレゼンテーションを聴いてきました。立て板に水のごとく話す人もいれば、よく聞き取れない声で恥ずかしそうに話す人、難解な専門用語が多く含まれるスライドでプレゼンテーションをした人もいます。そんな彼らに最初に伝えるのは、みんな専門領域が違うのでわかりやすく話してください、ということです。
しかし元々専門用語が含まれているので、それを懸命に説明し始めます。あるいは専門用語の説明にまた専門用語を重ねてスライドには専門用語があふれてしまう人もいます。研修ですから、繰り返し練習してわかりやすさを追求します。そして研修の最後には口調もはっきりとし、簡潔な用語説明になります。つまり「聴き手にわかりやすく伝える」という心がけしだいで、プレゼンテーションはうまくなるということです。
■スキルレベルに応じた実践ポイント
プレゼンテーションスキルを大きく二つのレベルに分けると、まず聴き手に伝えるスキルが必要です。そしてその上で聴き手の心をつかむスキルが求められます。
伝えるスキル、心をつかむスキルそれぞれに応じて、上で述べた3つの要素ごとの実践ポイントがあります。まずは伝えるスキルを身につけるために、聴き手に合わせ、論理的な展開で、わかりやすい表現を使ったプレゼンテーションにするにはどうすればよいかを整理しそれらを実践していけば、プレゼンテーションが楽しくなること間違いなしです。
実践的な「伝える」プレゼンテーション
- 日程:2024年1月9日(火)10:00~1月31日(水)23:59
研修時間:2時間
詳細はこちら
コラム執筆者
公益財団法人未来工学研究所 シニア研究員
・経験:ITベンダーの富士通でエンジニアとして30年従事し、プロジェクトマネジメント、お客様折衝、企画立案などの様々なシーンを経験。それらを活かして2007年より研修の講師に従事。
・対象階層:新入社員から管理職まで、これまで延べ5000人以上の受講者。
・研修分野:思考力、企画力、プレゼンテーション力、IT基礎力など。
・研修の特徴:経験に基づいた独自の整理で分かりやすさを追求。更に現場事例も豊富。